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『セリヌンティウスの舟』 石持浅海 (光文社)

 
かけがえのない仲間との楽しいダイビング。そして、いつものように飲んで騒いで眠ってしまった翌朝、美月は死んでいた。ログブックに残された遺書と、傍らに転がった青酸カリの小瓶。なぜ彼女はしんでしまったのか?本当に自殺なのか?納得できない気持ちを抱えた僕たちは、彼女の納骨式のあと同じ場所に集まった。彼女の鎮魂のために。なにより、自分たち自身が、彼女の死を消化するために―。


著者のことば

警察官でもない人間が、なぜ事件の謎を解こうとするのか。
謎を解くことによって、いったい何を得ようとしているのか。
そんなことを考えていたら、このような物語ができあがりました。
本書には、事件を圧倒的な知性で解決する、いわゆる名探偵は登場しません。
友人の不審な死を目の当たりにしたとき、関係者の間には疑心暗鬼と敵対心しか存在し得ないのか。
この本に描かれているのは、そのようなことに懊悩する、普通の、けれど気高い人たちです。
この本を手に取ったすべての方が、登場人物の一人であると信じています。

セリヌンティウスというのは、『走れメロス』で人質としてメロスの帰りを待つメロスの親友の名である。この物語では、美月の死の謎を解こうとする仲間達がセリヌンティウスになぞらえられている。
わからない。セリヌンティウスには、メロスがどうやって帰ってきたのかがわからない。

一度信じてしまった仲間を疑おうとしても、その瞬間頭が否定してしまう。
「よく、『積み上げるのは時間がかかるけれど、壊すのは一瞬だ』って言うだろう? 僕たちの場合は逆だと思うんだ。僕たちがお互いに信じ合える関係になったのは、漂流というある意味一瞬の出来事が原因だった。そしてその信頼関係は、今夜壊れる可能性に直面している」…
「それなのに、僕たちときたら、お互いを全く疑っていない。…

どうやっても仲間を疑うことができない彼らは、それでも真実に近づいていた。たとえそれが堂々巡りを繰り返しているように見えても…。

2008年09月15日 [ミステリ] by スオミ - No Trackbacks このエントリーを含むはてなブックマーク このエントリーをはてなブックマークに追加 385

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