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『詩的私的ジャック』 森博嗣 (講談社)

 
N大8年生(もう卒業不可)でロック歌手の結城稔。彼の曲の歌詞に見立てられた連続密室殺人事件が起きた。被害者はいずれも結城稔の熱狂的ファンだ。密室の目的は何か?死体に残された文字上の傷跡は何を意味するのか?S&Mシリーズ第4弾。

この作品は、以前新書で読んだときよりもずっと好ましく感じました。トリックも犯人もなんとなく記憶にあるためか、人物の魅力というか心理というか、そういうものを味わう余裕がでたのでしょう。製図で徹夜だといいつつも事件に首をつっこむ萌絵、中国に出張中で帰ってきても事件に無関心の犀川。稔と正反対の兄 寛(大学院生、ミステリ研OB)とその妻千佳(助手)、稔のマネージャ篠崎(ミステリ研OB)、萌絵のクラスメイト牧野洋子と金子くん…。主要キャラからちょい役まで、みな惹きつけられる個性を持っています。しょっぱなから死体で登場する女子大生2人は別として、ですが。森作品ではいつも被害者の描写が少ないですね。たぶん、動機に重きをおいていないせいでしょう。それは、犀川先生の言葉に集約されます。
「動機なんて、本当のところ、僕は、聞きたくもないし、聞いても理解出来ないでしょう。それに、本人だって説明出来るかどうか…。こんな欲望が、言葉に還元出来るものでしょうか?他人に説明できて、理解してもらえるくらいなら、人を殺したりしない。そうではありませんか?」

2004年03月06日 [ミステリ] by スオミ - No Trackbacks このエントリーを含むはてなブックマーク このエントリーをはてなブックマークに追加 1832

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