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『今はもうない』 森博嗣 (講談社)

 
西之園家の別荘の隣、橋爪家の別荘で、嵐の夜に起きた密室殺人事件。美しい女優姉妹がそれぞれ映写室と娯楽室で死んでいた。そして、彼女たちを見送るように、スクリーンには映画のエンディングが…。物語の語り手、笹木は「西之園嬢より先にこの謎を解く!」と息巻くが、18歳も年下の彼女にやりこめられてばかり。そして、事件そっちのけで彼女に夢中に…。萌絵が犀川に語るミステリ、S&Mシリーズ第8弾。
「その事件の場合も……、もっとも洗練された解決がなされた、と僕は思う。それは、最適という意味ではないけどね」
「どう違うんですか?洗練と最適は」
「最適でないものを許すことが洗練だ」
そう犀川の言うとおり、この作品が私たちに残すのは清々しい読後感です。まさに、嵐の翌日の澄み切った空のような。そして、サブタイトルにもなっている SWITCH BACK は、犀川を、私たちを、再び「今はもうない」風景へと誘うのです…。

こうやってシリーズをまとめて一気に読み返していると、登場人物の性格やその変化がよく見えてきます。以前、読んだときには気付かなかったことがたくさん見えてきて、とても新鮮。S&Mは残すところあと一作ですが、まだVシリーズもあります。これもきっと全然違う感慨を持って読むことになるでしょう。なんといってもあのへっくんが……なんですから。(笑)

2004年04月03日 [ミステリ] by スオミ - No Trackbacks このエントリーを含むはてなブックマーク このエントリーをはてなブックマークに追加 1486

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