サリーとアンの課題
場面1=部屋の中で、サリーとアンという女の子が遊んでいる。サリーは人形で遊んでいる。サリーは飽きたので、自分の人形をんたんすの引き出しにしまって庭に出る。
場面2=アンはサリーの人形で遊びたくなり、引き出しから出して遊ぶ。
場面3=アンも人形に飽きたので、それを自分のかごにしまう。
場面4=そこに、庭からサリーが帰ってくる。また人形で遊ぼうと思う。
設問=サリーはどこをさがすだろうか?
オリジナルの課題では、人形ではなくおはじきで遊んでいたことになっているが、大人ならだれでも、サリーは引き出しをさがすと答えるだろう。
しかしこの課題は、四歳までの子供や高機能自閉症の人では正解率が低いのである。
スマーティの課題
スマーティの課題というのも有名だ。スマーティという名まえのお菓子の箱を使って行う課題だ。
大人=スマーティの箱(中には、スマーティではなく鉛筆が入っている)を子どもに見せて、「中に何が入っていると思う?」と聞く。
子供=「スマーティ」と答える。
大人=「では、開けて見てごらん」
子供=(開けて、中に鉛筆が入っていることを確認する)「鉛筆だ」
大人=(これが設問になる)「では、○○ちゃん(子どもの友人)に、この箱に何が入っているか聞いたらなんて答えるかな?」
私たち大人は当然「スマーティ」と答えるだろう。しかし、やはり四歳以下の子どもや高機能自閉症では、「鉛筆」と答えることが多くなるのである。
ハッペは、「心の理論」課題遂行時の脳内過程をPETで調べた。(中略)
つまり、アスペルガー症候群の人は、心の理論課題を理解するために、非アスペルガー症候群の人とは異なった脳部位を使用していることが示唆されたのである。
平成16年12月、発達障害者支援法が成立した。拘束力を持たない理念法ではあるが、発達障害に対して、社会が正面から取り組んでゆこうという理念が示されている。発達障害以外の障害を無視した問題のある法律であるという見方もあるが、そうした理由で反対を叫ぶのではなく、理念を現実にしてゆく作業に力を注ぐべきであろう。
特に、本法の中に提案されている「発達障害者支援センター」の実現化に向けて、教育・医療・行政が専門性の枠を越えた作業を早急に開始すべきだろう。
アスペルガー症候群に限らず、数多くの発達障害の子どもたちが、この、今も感じつつある「生きにくさ」をなくすために。
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