子どものとき「家にはお金ないんだよっ!」と親に言われて無理やり抑えつけてきた物欲。それを自分の稼ぎで自由に使えるようになった経済力で一気に解放してしまうのが「大人買い」だ。
本当の大人は、いろいろな苦労としがらみを背負って生きているのだよ。それは君達のお父さんのやつれた顔を見ればよく分かるはずだ。「さすがに恋の悩みはないけれど、さっきバリウム飲んでおなか苦しいし、年金はきっと戻ってこないし、来年からは介護保険も取られちゃうんだよね〜」というつぶやきが、「しわ」の隙間から漏れ聞こえてくるだろう?(中略)
さあ、君達にも「酸いも甘いも」知ってしまったお父さんの買い物は「大人買い」から程遠いことが分かってもらえたと思う。「そういうのは親父買いっていうの?」と君は聞くかもしれない。でも、「親父買い」というのは、金色のネックレスとブレスレットをぎらぎらさせたおっさんが「がっはっはっは、どうもどうも、一番いいものを適当に見繕ってよろしくちゃ〜ん」と金にあかせて買いまくることだから、これまたぜんぜん違うのだ。
だから、お父さんの買い物はやっぱり「お父さん買い」と呼ぶことにしよう。ひょっとすると君はお父さんのことを「パパ」と呼んでいるかもしれないが、「パパ買い」と呼ぶと、これはこれでちょっと意味が違ってくるから止めておこう。くれぐれも「それじゃ、パパ買いって何?」とは聞かないでくれたまえ。そういうことは大きくなったらきっと分かるときがくるからね。
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