舞台は古代ローマ、皇帝ネロの時代。若き軍団長ウィニキウスが一目ぼれしたのはプラウティウス家に預けられていたリギ族の王女リギア。彼の恋は実るのか・・・?
という話だけでどうして3巻にもなるんだ?と首をかしげながら読み始めたら、これがとんでもないスペクタクル。息もつかせぬ展開に、一気に読みきってしまいました。
当代きっての趣味人ペトロニウス(実在の人物。『
サテュリコン』の作者)が甥のウィニキウスのためにネロやポッパエアを丸め込む手腕にはドキドキ&スカッとします。最初から最後までこの人が主役なのではないかと思ってしまうほど。
リギアがキリスト教世界、ペトロニウスが古きよきローマ世界、ネロが腐敗したローマ世界の象徴であるとすれば、ウィニキウスは変わってゆくローマそのものかもしれません。なーんてまじめに考えてみたり。
目の前で死んだ留学生の残した謎の言葉「しょうりゅう」を追う阿倍仲麻呂と李白。舞台は玄宗の開元の治にかげりの見えはじめた唐の都、長安。きらびやかな都を舞台に、赤毛・碧眼のペルシャ美人、飲み屋の狸親父、権力欲丸出しの宦官たちを相手取って大活躍ののんだくれ李白&生真面目仲麻呂。二人の調査ははからずも、唐朝を脅かす大陰謀の真相へと近づいていく…。
てなわけで、李白の詩をところどころにちりばめながらのミステリ仕立て歴史小説といった作品。おもしろ楽しく最後まで読めました。ちょっとした息抜きにはぴったりという感じ。
『パクス・ロマーナ(下)』
跡継ぎ候補がティベリウスしかいなくなってしまった晩年のアウグストゥスがティベリウスにあてた手紙の箇所で、むちゃくちゃ泣けてきました。以前読んだときは何も感じなかった気がするのに、そして、その後それに涙するような経験を積んだわけでもないのに、なぜか涙がぽろぽろこぼれます。自分の知らないところで何かが変わっているのだなぁと思いました…。
『ユリウス・カエサル―ルビコン以後(下)』
カエサルの死後、オクタヴィアヌス対アントニウス&クレオパトラの闘いの決着までを描きます。カエサルの目指した帝政を阻止し、共和制を取り戻すべく暗殺を実行したカシウス、ブルータスらの醜態、それを利用して自分がカエサルの後継者になろうとしたアントニウスを更に利用しようとしたクレオパトラ・・・。
カエサルの意思を正しく理解し継承したオクタヴィアヌスの勝利によって闘いは決着するのですが、それはカエサルが生きていれば避けられたはずの14年間の内戦でした・・・。
遠く2千年後の日本に生きる私でさえ、アレア・サクラで涙したのです。当時のローマの人々の思いはどうだったのでしょうか。現代のローマの人々は、何を思うのでしょうか。
スオミ : カエサルの死後、オクタヴィアヌスが力を持ち始め、アントニウス...