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『写楽・考』 北森鴻 (新潮社)

 
蓮丈那智フィールドファイル3。今回は中編が4つ。
もはやアブナイ人と化した内藤三國(助手)のマゾっ気たっぷりの言動を堪能できる、「憑代忌」。那智(民俗学教授)に虐められるだけではなく、都市伝説となって水死体にされちゃったり速贄(はやにえ)にされちゃったり。しかも、由美子という優秀な助手が入ったものだから、余計にミクニのヘタレっぷりが際だつ。(笑)

狐目の推理が冴える「湖底祀(みなそこのまつり)」。鳥居はどうして「鳥が居るところ」なのか?どうしてあの形なのか?湖底に眠る鳥居の調査をする内に、意外な事件が浮かび上がる…。
そういえば、どこかの小さな博物館で鳥居にはものすごくたくさんの種類があるというパネルのを見た気がするのだが、どこだったか…。熱田神宮の宝物館だろうか。

「棄神祭」では、殺されるために生まれた神について考える。保食神(うけもちのかみ)は月夜見尊(つくよみのみこと)に殺され、その遺体の
頭は牛と馬になった。
額の上には粟が。
眉の上には蚕が。
目の中には稗が。
腹の中には稲が。
陰部からは麦と、大豆、小豆が。

それぞれ生まれ出でたのだそうだ。イラストがなんだかステキ。
いや、もちろん殺人事件は起こるのだけど。やっぱり殺人事件の謎解きよりも、民俗学の謎解きの方が楽しいのだ。

そして、またもや那智が殺人犯の疑いを掛けられる「写楽・考」。それまで「狐目の担当者」としか表現されず、セリフの中では「・・・さん」としか書かれていなかった教務課の狐目の名前がとうとう明かされる!カメラ・オブスキュラにうきうきしていて、タイトルを忘れてしまうほど。

ちなみに、この3は表紙のイラストが新書版とかなり違う。
←新書版。この方がいいと思うんだけど、どうして変えちゃったんだろう。女神の方が作品に合ってるし、般若面では「凶笑面」とかぶるし。うーん…。

このシリーズの続きって出るのかな。出るといいのにな。北森鴻の文章はそんなに好きではない(嫌いでもない)けど、話は面白いから、まだまだ読んでみたいと思ってる。

2008年09月03日 [ミステリ] by スオミ - No Trackbacks このエントリーを含むはてなブックマーク このエントリーをはてなブックマークに追加 329

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