冬狐堂シリーズ第3弾。今回は短編集。
「陶鬼」…業界から煙たがられていた凄腕の弦海(つるみ)が名器 秋霜を割って死んだという。彼の自殺を信じられない陶子は山口の萩に向かうが―。
「「永久笑み」の少女」…陶子が罠を仕掛けていく手紙をじわりじわりと読ませる異色作。古墳の描写が美しい。
「緋友禅」…緋色を制した男が腐乱死体で見つかった。彼の作品を受け取り損ねた陶子が犯人を追う!
「奇縁円空」…銘木屋の大槻と練馬署の猿犬コンビがまたもや登場。
今回はなんだか人のために飛び回ってばかりの陶子である。死んだ者の、残された者の思いを握りしめて東奔西走する姿は、それでもプロである。金にもならぬのに人のために奔走することは、彼女の中では旗師としてのスジを貫くことの延長線上にあるだけの、普通のことなのかもしれない。…まぁ大半は性格だろうが。本人は否定するが、ほんに硝子(しょうこ)の言う通り「トラブルメーカー」なのである。でなければ、埋もれて見過ごされているトラブルを発掘する「トラブルディガー」か。(笑)