夜の公園を散歩するリリ。幸せなはずなのに、大好きだったはずなのに、何かが違う…。夜の公園でリリと出逢った青年 暁(あきら)はリリと恋に落ちる。落ちたはずだった。けれど、リリに心は届かない。リリの親友 春名は真面目な高校教師だけれど、そんな自分をもてあましている。リリの夫 幸夫は…面倒くさいので略。自分がどこにいるのかわからない、どこに向かうのかわからない、そんな4人+1人の物語。
久しぶりに読んだ川上弘美。彼女特有の透き通った感じは健在なんだけど、透明のガラスではなくて磨り硝子のような気がする。…でもこれは、男女の恋物語ではなくて、リリと春名の物語なんじゃないか。そう思った瞬間、磨り硝子のような印象が悲しいまでに透き通ったガラスに変質した。
<目次>
リリ、夜の公園
幸夫、小高い丘の頂上
春名、吹くかれる川辺の葦
暁、白く曇った窓
リリ、水を湛えた器
幸夫、頬を伝う雨粒
春名、嵐の海
暁、重なる息
リリ、羽ばたく鳥の影