S&Mシリーズ第2弾。犀川の悪友、喜多のいるN大工学部極地環境研究所の低温度実験室でおきた密室殺人事件。犀川、萌絵、喜多がそれぞれの思考で真相に迫る。
「森らしくない」とか「インパクトがない」などと言われて評価が低いようですが、私はそうは思いません。確かに妃真加島の研究所に比べれば極地環境研究所センターは色彩的に地味だし、ハイテクなセキュリティシステムがあるわけでもないし、登場人物も教授、助手、大学院生に事務員といったまともな人たちです。トリックだって、天才真賀田四季の15年をかけたトリックと比べて地味なのは当たり前ではありませんか。でもそれは、「単純」とは違います。しっかりと練られた、美しいトリックなのです。
この本を読んだ後にすぐまた読み返したくなる人はほとんどいないでしょうが、実のところ、伏線があちこちに張られています。それに気が付いた人は、きっと喜多先生と同じような思考で真相に至るに違いありません。
最後に、犀川先生の言葉を。
「社会に出て、大人になって、数学が何の役に立つのでしょうね?」
「犀川先生なら、どう答えられますか?」
「何故、役に立たなくちゃあいけないのかって、きき返す」