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4月 3日 (土)
『今はもうない』 森博嗣 (講談社)
西之園家の別荘の隣、橋爪家の別荘で、嵐の夜に起きた密室殺人事件。美しい女優姉妹がそれぞれ映写室と娯楽室で死んでいた。そして、彼女たちを見送るように、スクリーンには映画のエンディングが…。物語の語り手、笹木は「西之園嬢より先にこの謎を解く!」と息巻くが、18歳も年下の彼女にやりこめられてばかり。そして、事件そっちのけで彼女に夢中に…。萌絵が犀川に語るミステリ、S&Mシリーズ第8弾。
「その事件の場合も……、もっとも洗練された解決がなされた、と僕は思う。それは、最適という意味ではないけどね」
「どう違うんですか?洗練と最適は」
「最適でないものを許すことが洗練だ」
そう犀川の言うとおり、この作品が私たちに残すのは清々しい読後感です。まさに、嵐の翌日の澄み切った空のような。そして、サブタイトルにもなっている SWITCH BACK は、犀川を、私たちを、再び「今はもうない」風景へと誘うのです…。
こうやってシリーズをまとめて一気に読み返していると、登場人物の性格やその変化がよく見えてきます。以前、読んだときには気付かなかったことがたくさん見えてきて、とても新鮮。S&Mは残すところあと一作ですが、まだVシリーズもあります。これもきっと全然違う感慨を持って読むことになるでしょう。なんといってもあのへっくんが……なんですから。(笑)
3月28日 (日)
『たそがれ清兵衛』 藤沢周平 (新潮社)
映画にもなった、「たそがれ清兵衛」を含む短編集。どの作品も、ふだんはろくでもないあだ名で呼ばれ侮られがちな侍が、意外な活躍をするという話です。
私は映画は見ていないのですが、「たそがれ清兵衛」「祝い人(ほいと)助八」「竹光始末」の三作品でひとつの映画になっているようです。なかなかよく練られたストーリーになっているようで、映画の方も見たくなってきました。原作と映画の比較などが
こちらにあります。そのなかで、
「原作の波津が、朋江になっている。ところで「朋江」という名前はどこからでてきたのだろうか。」
とありますが、「だんまり甚内」の妻女の名が朋江でしたので、たぶんこれでしょう。どうして変えたのかまではわかりませんが…。
3月26日 (金)
『夏のレプリカ』 森博嗣 (講談社)
萌絵の同級生 簑沢杜萌は、二年ぶりに帰省した実家で仮面の誘拐者に捕らえられ、一足先に誘拐された家族のいる別荘へ連れて行かれる。ところが、誘拐犯は何者かに殺され、実家にいたはずの盲目の兄は行方不明に…。『幻惑と死と使途』と同時期に起こった事件を描く、偶数章だけのミステリ。S&Mシリーズ第7弾。
萌絵と杜萌のチェスで彩られる、ミステリというよりは残酷な童話のような物語。タイトルの「夏のレプリカ」― REPLACEABLE SUMMER ―の意味はまだ私にはよくわかりません。ただ透明な哀しさだけが残る杜萌の夏。それは本物の夏ではなかったということなのでしょうか…。
家族って、テレビのリモコンのように、だんだん非接触になっていく。どこまで遠く離れれば、スイッチがつかなくなるのか…。それを試そうとする子供のように、みんな、離れていく。
誰でも、そう。離れていく。
(きっと、もう戻れない…)
3月22日 (月)
『幻惑の死と使途』 森博嗣 (講談社)
「一度でも、私の名を叫べば、どんな密室からも抜け出して見せよう。私は、必ずや脱出する。それが、私の名前だからだ。」
稀代のマジシャン有里匠幻が、野外の湖で脱出マジックの最中、衆人の前で殺された。さらに、葬儀では彼の遺体が消失する。いったい誰が仕掛けたのか?どこまでがマジックなのか?
またもや萌絵は危機一髪で犀川に助けられるS&Mシリーズ第6弾。
この作品には、奇数章しかありません。第1章の次は第3章、その次は第5章...といった具合です。理由はお読みいただければわかりますが、気付かなくても問題はありません。そんな些末なことは脇に置いて、華麗なマジックに目を奪われてください。
「まったくそのとおりだ。本人の人格を汚すことは不可能だ。どんな法律も、人格を裁くことはできない。名前を裁くんだよ」
3月19日 (金)
『封印再度』 森博嗣 (講談社)
旧家、香山家に代々伝わる家宝「天地の瓢(こひょう)」と「無我の匣(はこ)」。「匣」の鍵が「瓢」に入っているが取り出せないという、まるで知恵の輪パズルのようなこの一組の家宝が、二代続けて同じ状況で死んだ当主の前に置かれていた…。自殺か?他殺か?目的のためには手段を選ばない西之園萌絵と、珍しく積極的に事件に関わる犀川の、S&Mシリーズ第5弾。
“WHO INSIDE”というサブタイトルの付いたこの作品、タイトルも謎も洒落ていて、S&Mシリーズ中でもかなり気に入っています。国枝桃子助手の「ごちそうさま」発言や、萌絵の叔母 佐々木睦子の「貴女…、私と区役所と、どっちが偉いと思っていて?」発言など、脇役がたまらない魅力を発揮しています。ちなみに、ラスト近くで瀬戸千衣(せとちい)が登場します。漫画家だが毎日どこかへ出勤していくという彼女の夫って、誰なんでしょう?
美しいとビューティフルは、全然違う意味じゃないかな。きっと、綺麗な夕日を見て、ああ死にたいって思ってしまうんだ。しかもそれが全然悲壮じゃない。どうして、こんな綺麗な感情ができたんだろうね?
3月14日 (日)
『四季 秋』 森博嗣 (講談社)
一生の不覚です。Vシリーズの最終作、『
赤緑黒白』を読まないまま、この『秋』を読んでしまいました。だから、「えっ!へっくんが…、あのへっくんが!」なんて驚いてしまったのです。こうなったら、『冬』の前に、Vシリーズも全部読みなおさなくては。
ひょっとして、『赤緑黒白』では、『夏』で提示された「林さんの謎」の答えも出ているのかしら。私はこの『秋』で答えが出ていると思ってその後考えなかったんですが、ほんのちょっとでも考えていれば、『夏』で既にへっくんのことはわかっていたはずなんですよね。ちょっと落ち込みました。
でも、『夏』も『秋』も、何も考えずに読んで楽しいのです。今までのシリーズを振り返るような感じだからなのか、四季の周りの人々が、太陽の周りの惑星のように美しく描かれているからなのか。物語は犀川&萌絵、保呂草&各務を中心に進んでいきますが、儀同世津子、瀬在丸紅子らも登場します。誰の人生も美しい。ラスト近くの紅子の言葉はどれもが心に染みます。
「人は、自分が許せないときに、悲しくて泣く、そして、自分が許せたときに、嬉しくて泣くの。」
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Nagano : 四季シリーズ、VやS&Mシリーズを読んでいると、楽しいですよ...
スオミ : 『女王の百年密室』は読みました。なるほど、そうですね。 もう...
Nagano : 『迷宮百年の睡魔』の世界も、『女王の百年密室』と同様、神のよ...
スオミ : そうですねぇ、伝えるのは難しいですねぇ。 でも、このBookShelf...