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わからないからこそ書く

 
高村薫の講演ノート「人と交わる言葉を求めて」より。

「わからない」が書くエネルギー
もし分かっていたら書きません。分からないからこそ、どうしてこのようになっているのだろうと言葉をひとつひとつ列ねながら考えていく。この過程が小説になるという直感は最初から私にはありました。分かっていることを書くことが小説になるのなら、たとえば現職の警察官はいちばん優れた警察小説の書き手になるのだろうし、現職の弁護士はいちばん面白い裁判小説の書き手になるはずです。そうはならないのが小説です。
このように小説は自分が知っていることを使ってストーリーを組み立てていく物ではなく、その逆で自分が知らないことをいかに提示してなぞっていくか、そして知らないということをいかに伝えるか、そこにかかっているのです。なぜなら小説は知らないこと、どこまでも分からないことを言葉にすることによって、不思議や謎を発見します。同時に希望や絶望も発見します。

私は小学生の時、小説を書きました。別に進んで書いたわけではありません。生徒全員が、小説か随筆か脚本をかかねばならなかったのです。そのとき、何を書こうか悩んで、結局「死後の世界はどうなっているんだろう?」というテーマで短い小説を書きました。まさに、そのとき私にはそれがわからなかったから、あれこれ考え、想像し、書いたのです。よく覚えていませんが、兄妹がいて、妹が死んでしまう話だった気がします。妹の名前はセリカだったような…。(汗)

この高村薫の文章を読むまで、私はそんなことをすっかり忘れていましたが、この子供の頃の経験を思い出すことで、彼女がいわんとしていることをストンと理解することができました。

知らないことを書くのはいけないことなんかじゃない。知らないこと、わからないことを、自分なりに考えながら書いていくのが大事なんだ。そう思うと、書くことが楽しくなる予感。


   

2005年07月19日 19:18 [日記] - No Trackbacks このエントリーを含むはてなブックマーク このエントリーをはてなブックマークに追加 1667

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