一通の手紙をきっかけに失踪した小説家、そして家に残されていた、25年前の少女誘拐監禁事件の真相に迫る小説―。
「景子ちゃんは、あの事件で一番、自分の何が失われたと思う」
「さあ、何だろう。考えたこともありません。」
「家族?それとも住む環境。友達?何かな」
「よくわかりません」
「僕は現実ではないかと思う」
現実を失った11歳の少女が生きていくために必要とした毒の夢、そこに浮かび上がる真実のカケラ。たくさんの謎の前に、私たちはカケラを集めることしかできない。けれど、そのカケラから再構成した「真実」は何も真実を教えてはくれない―。
あとがきにあった「謎解きのないミステリ」というより、謎解きしても真実にたどり着けないミステリかも。