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『ダイイング・アイ』 東野圭吾 (光文社)

 
出版直後にちらりと立ち読みして、続きをすっごく読みたくなったのだけど我慢して図書館でリクエストしてようやく順番がまわってきた。半年以上経ってるよ…。
何が印象的といって、冒頭の交通事故のシーン。ピアノを教えた帰り道、自転車に乗っていた美菜絵は、後ろから来た車に跳ね上げられ…


 音もなく、バンパーは彼女の身体を潰していった。肋骨がぽきぽきと折られ、胃袋や心臓も圧迫されていく。まるでスローモーション映像のように、ゆっくりとした現象だった。
 車に潰されようとしている、と美菜絵は理解した。彼女の背後には何かの壁があり、それと車とでサンドウィッチにされかけているのだ。
 彼女は声を出したかった。しかし出せなかった。抵抗しようとしたができなかった。背骨と腰の骨が、ぼきり、ぼきりと順番に折れた。
 死んでいくのだ、と彼女は悟った。自分は今、死につつある。

死体になりつつある彼女の目、それが「ダイイング・アイ」である。生への執着と復讐に燃えた瞳。主人公はその復讐のターゲットとされた雨村慎介だが、影の主人公はこの美菜絵だろう。これはミステリでもあるが、復讐を外から描いた物語でもある。

東野圭吾にしてはストーリーがやや先読みできてしまうのが残念だが、純粋に文章を楽しむだけでも十分価値がある。途中、別の意味で印象的なシーンがあるが、それはここでは言うまい…。

2008年07月05日 [ミステリ] by スオミ - No Trackbacks このエントリーを含むはてなブックマーク このエントリーをはてなブックマークに追加 566

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